亥の子餅
いのししの多産にあやかって、陰暦十月の初めての「亥の日」に餅をつき、
この餅を食べながら無病息災と子孫繁栄を祈る年中行事が「亥の子祝い」です。
平安時代初期に、宮中で亥の日に、亥の子の形をした餅(亥の子餅)を、
献上する儀式として取り入れられ、これが次第に民間に広まっていきました。
江戸時代の江戸市中では、この日に炉や火鉢を出す習慣があり、
茶の湯でも 「口切」の茶事「炉開き」が行われました。
「口切」とは初夏に壷に納めた新茶を、壷の封を切って初めていただくもので、
茶人にとってのお正月でもあり、点初(たてぞめ)とともにたいへん重要視されている茶事であります。
そしてお菓子は、亥の子餅を用いるようになりました。