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2021年06月05日 配信

「扇屋」店内で。坪田和美さん

6/5(土)船橋・松が丘の「御菓子処 扇屋」長女が日本菓子協会東和会「最優秀技術会長賞」受賞

2年連続となる快挙

昭和41(1966)年から続く和菓子店「御菓子処 扇屋」(船橋市松が丘4-23-1、TEL047-465-6716)の長女・坪田和美(かずみ)さんが日本菓子協会東和会から「2020年度例会作品 最優秀技術賞」を受賞。2年連続の「最優秀技術会長賞」受賞となった。

今回、坪田和美さん(27)が受賞したのは、一般社団法人日本菓子協会東和(とうわ)会(東京都新宿区)が主催する「月例品評会」での年間総合優勝となる賞。和菓子での表現、色彩、技術など、見た目が審査されて年間取得ポイントで決定する「最優秀技術会長賞」を受賞したほか、2019年に新たに設けられた「美味(うま)しもの部門」でも和美さんは2020年度の「最優秀技術賞」を受賞し、ダブル受賞となった。

「東和会」とは、和菓子技術の向上と伝承を目的とした和菓子研究団体で、昭和27(1952)年に発会。和菓子業界全体の技術向上の一端を担い、「月例品評会」「大講習会」「青年部勉強会」などを開催するほか、出版物「月刊東和」の発刊もしている。同会は2020年10月に「一般社団法人 日本菓子協会東和会」として法人化した。

そのなかで和菓子業界の第一線で活躍する人材育成を目的に開催されているのが「月例品評会」。参加者は、4月から翌年3月までの1年間、月1回、菓題に基づいた作品を出品。参加者は、会場となる「東京製菓学校」(東京都新宿区)に作品を持って行き、その場で審査がされ、業界最高峰の技術者による厳正な審査を通じてその月の優秀作品が決定される。1年後には年間の点数が計上され、成績優秀者を表彰するというもの。

出品作品は、5種類または3種類の上生菓子、焼き菓子、蒸し菓子、盆景菓子などで、作品の表現、色彩、技術などが審査されるという。2020年度の参加者は、都内の和菓子店のほか、茨城や鹿児島の和菓子店も参加。2位以下には、新宿「栄光堂」瀧澤くるみさん、鹿児島県「リッチモン松元」の松元政喜さん、東京・小石川「岡埜栄泉」松下僚さん、世田谷区成城「あんや」森山裕紀さんなどが入賞している。

和美さんは「毎月、新しいものを考えて、その作品を持って行くというのが大変だった。通常の業務があるなか、仕事が終わってから作品作りに取り組んだ。何百個も作ったりして、1つの作品に、色、技術、デザインなど、総合的なことを考えて、自分が持つ技術のありったけを見せられるものにしなくてはいけない。2019年度は応募してみたら『苦労したけど、優勝しちゃった』という感じだったのですが、昨年度は前年に優勝しているプレッシャーもあり、作品に迷いが出たこともありました」と振り返る。

さらに和美さんは2部門ともに出品していたため、見た目だけで勝負する「月例品評会」の作品に加え、「美味しもの部門」用に、実際に食して勝負する和菓子も毎月出品していった。

和美さんは古和釜中学校、八千代高校時代、柔道部に所属。柔道強豪校で鍛えられた和美さんは市代表や県代表としてさまざまな大会に出場してきた人物。高校時代はインターハイでベスト8にも入る強者だ。「昔から勝負の世界にいた。勝ったり負けたりすることで、自分が今どの位置にいるのかよくわかった。しかし今は、店では父の下で職人として働くのは自分のみ。同期もいないし、他の年代の同じ仕事をしている人のことや、自分が今、どれだけできているのかなどがわからない。それを知りたいのもあって参加しようと思った」と和美さん。

高校卒業後、東京製菓学校の和菓子専科夜間部に通った和美さん。昼は外資系の大手コーヒー店でアルバイトをし、コーヒーのことを学びながら接客も学んでいたという。その後、父の店に入る決意をし、20歳から父・坪田知之さんのもとで働いている。

「職について7年の私は、業界ではまだまだ下っ端。2年間連続で最優秀技術賞をいただいて、ようやくスタート地点に立てた感じ。1人娘なので、いざという時に引き継ぐ準備をしておかなければ。夢は『すごい職人』になること。和菓子職人は力仕事でもあり男性が多い世界ですが、自分の武器を知り、身に付けて、がんばっていきたい」と抱負を話した。

  • 6月に届いたばかりだという受賞トロフィー

  • 「東和」の表紙にも登場した和美さんの作品

  • 店舗外観